前回に引き続き相続税改正のポイントをご紹介させて頂きます。
本日は4つのポイントのうち残り2つをご紹介させていただきます。
ポイント③ 控除の拡大
未成年者控除および障害者控除の控除額が増額されます。
未成年者控除
相続人が未成年者である場合、その者が20歳に達するまでの年数に応じて一定の金額を相続税額から控除する制度。
改正前 改正後
控除額 1年につき6万円 ⇒ 1年につき10万円
障害者控除
相続人が障害者である場合、その者が85歳に達するまでの年数に応じて一定の金額を相続税額から控除する制度。
改正前 改正後
控除額 1年につき6万円(特別障害者は12万円) ⇒ 1年につき10万円(特別障害者は20万円)
ポイント④ 小規模宅地等の特例の改正
小規模宅地等の特例とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族が、事業用または居住用として使用していた宅地について一定の要件を満たす場合は、限度面積までその宅地の評価額を減額する制度です。
(a)特定居住用宅地等の限度面積が拡大
改正前 改正後
限度面積 240㎡(減額割合80%) ⇒ 330㎡(減額割合80%)
(b)特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の併用
改正前は特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の両方について特例を適用する際、一定の方法で計算した面積のうち400㎡までと限定的な適用しかできませんでしたが、
改正後は特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の両方についてそれぞれの限度面積まで適用が可能となりました。
すなわち、特定居住用宅地等について330㎡、特定事業用宅地等について400㎡、併せて730㎡まで特例を適用することが可能です。
(c)二世帯住宅の居住要件の緩和
被相続人が二世帯住宅に居住していた場合の特定居住用宅地等の適用について、要件が緩和されました。
二世帯住宅のうち、建物内部で行き来ができない独立した構造の建物の場合、
改正前は被相続人が居住していた部分に相当する宅地についてのみしか特例の適用対象になりませんでしたが、
改正後はその建物の構造にかかわらず、区分所有建物(たとえばマンションのような)に該当する場合を除き、その宅地全体について特例を適用することが可能となりました。
上記の改正は前回に記載した内容とは逆に、相続税の減税の改正です。
うまく活用することで相続税の納税を抑えることができます。
また、相続税額に直接影響はしませんが、相続した財産を申告期限から3年以内に譲渡した場合に、譲渡所得の計算上相続税額の一定額を取得費に加算する制度(相続税額の取得費加算)についても改正が行われています。
その譲渡した相続財産が土地の場合に、取得費に加算される金額が縮小されております。
この制度は納税資金の確保や節税に利用されることが多いため、注意が必要です。
以上がこの平成27年1月からの相続税についての改正のポイントです。
これらの改正はあくまでも相続の開始(被相続人の亡くなられた日)が平成27年1月以降の場合に適用されますので、平成26年12月以前に亡くなられている場合は、平成27年中に申告する場合でも改正前の税法が適用されますのでご注意ください。
2015/4/2